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寝室に入ると少し冷たい空気が私たちを待っていた。
部長に抱きかかえられたまま身震いすると、部長がそのままエアコンのスイッチを入れてくれた。
ベッドに寝かされてしばらくするとエアコンから生暖かい風が流れてきた。
それを何かの合図みたいに、部長が私にキスをする。
そしてゆっくり顔を離す。
「…ゆい。」
部長の目は優しかった。
その優しい目の奥の…もっと奥まで見てみたい。
ねえ、部長…。
今日は…嬉しそうだね。
…きっと、部長は美月さんと森田部長のことを心から喜んでいるんだと思う。
部長はあの日…、美月で美月さんと3人でご飯を食べた日も私を抱いてくれた。
あの日の部長は…悲しそうな目をしていた。
私にはわかっていた。
あの夜、お店で美月さんが部長のために今まで自分のことはどうでもよかったと言った時。
…部長はすごく辛そうな顔をした。
一方で美月さんも言わなければ良かったと思ったのか、後悔の念で顔を伏せた。
あの後は楽しい雰囲気で過ごせたけど、部長とマンションに帰って来て、そのまま私をベッドに倒した部長はお店で見せたあの切ない目に戻っていた。
あの時は…自分のために美月さんに我慢させてきたことに…
…辛くなったのかな。
あの時私は部長を包んであげようと必死だった。
今日の部長は…違うね。
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