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余りの衝撃に固まった体を何とか動かす。
「…み、美咲、声、大きいよ。」
「…ご、ごめん。つい。ついよ。」
美月さんは周りのお客さんに頭を下げた。
今日はまだ、空いてて良かった。
私は呼吸を落ち着かせて、遠慮しながら聞いてみる。
「…ずいぶん…急ですね。あ、あの、もちろんお二人が決めたことだから、タイミングがどうこうとかじゃなくて…でも…驚いちゃって…。」
「…そうね。驚かせてごめんね。付き合って間もないから。…驚いちゃうわよね。」
「…いえ。付き合いが長いとか…短いとかそんなことは関係ないと思います!」
私は思わず身を乗り出してしまった。
美月さんは小さく息を吐いて笑って言った。
「ありがとう。…ねえ、今日は早くお店閉めるから、それまでいてくれる?もうこれからのお客様には悪いけどお断りするから。」
美月さんは意味ありげに笑って他のお客さんに呼ばれたのでそのまま行ってしまった。
私は美咲と目を合わせた。
「いるしかないよね。」
「もちろん!」
他のお客さんが帰った後で、美月さんが何をしようとしてるのか、何を言おうとしてるのか私たちはドキドキしながら待っていた。
それを気にしつつもせっかくのお料理を楽しまないのはもったいない。
逸(ハヤ)る気持ちを抑えようと、私たちはどちらともなくとりとめもない話題で繋いでいた。
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