御年賀

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「一志」 「ん?」 「お年玉くれ」  手を出せば、一志は呆れたように息をつく。 「欲しいものでも?」 「いや、特には。ただちょっと言ってみたかっただけ」  よいしょ、とソファーにもたれている一志の足のうえに跨がった。 「オレ、正月とか祝ったことねえもん」 「そうか」 「ん。誰かと過ごすのも初めて」  言いながら体を寄せれば、抱きしめられた。  温もりに包まれ、安堵する。 「あ」 「どうした?」 「欲しいもの出来た」 「何?」  体を少し離し、微笑んでみせた。 「幻?」 「一志が欲しい」 「今?」 「今!」  仕方ないな、と言いながら、嬉しそうな顔をして優しく頭を撫でて来る。  唇を重ねて、その場所で押し倒された。  来年も再来年も、その次の年も、ずっとずっと、一志と居られたらいいな。  そう思いながら、与えられる温もりを全身で受け止めた。 終る
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