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「龍之介に会えるからか?お前も大概しつこいな、あんな奴の何が良いんだか」
三神さんの言葉に、俺は笑みを浮かべてみせる。
「…それだけじゃないかもしれませんよ?」
俺の言葉に、三神さんは意味が分からないとばかりに怪訝な顔を見せた。
月曜日。昼休みに学校の屋上で俺と森宮は二人で過ごしていた。学校ではコイツと二人でいるのが定番になっていた。俺も森宮も他に友達いないし。
「要とはメールのやりとりしてるんだって?」
俺の言葉に森宮は頷く。
「会えないのってどーなの、やっぱ寂しいの?」
「まーね。同じ顔の人間は傍にいるのに、中身は別人って変な感じ」
「要じゃなくて悪かったな」
「悪いと思うなら、また入れ替わってよ」
森宮は冗談めかして言うが、コイツちょっと本気だろと俺は悟った。
「それも良いかもしんないなー…」
俺の返事が意外だったらしく、森宮は驚いた顔をする。
「本当?何で?要の家ってヤクザ一家で怖いんでしょ?」
「……………」
そりゃあ龍之介さんに会いたいからだよ。ちょっと前までの俺ならすぐにそう思っただろうけど、今回は違った。分からない。俺が会いたいのは本当に龍之介さんなんだろうか。
けど、どっちにしろ、本気で要と入れ替わったりするつもりはない。今そんな事してられる状況でもないし。
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