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「いや、まぁ…アレだよ…。人間星の数程いるから、別に要じゃなくても……」
俺がそこまで言った所で屋上の扉が開き、誰かがやって来た。その誰かを見て俺は固まった。俺は今、夢でも見てるのだろうか。
「要じゃなくても何だって?」
その人物は俺だった。いや、正しくは、俺に良く似た別人……つまり、要である。
「かっ……要!?お前、何で……!て言うかそれ、うちの制服……っ!」
要は驚く俺を見て口元に笑みを浮かべる。
「転校して来たんだよ、裏口入学で。学校には行かせてもらえるようになったからさ、せっかくだから森宮と一緒にいられる方が良いじゃん?な?森宮」
な?と話を振られ、それまでポカンとして立ち尽くしていた森宮がようやく我に返った。
「……要…。ほんとに……?」
「うん。まぁ俺、三年だから、あと一年くらいで卒業だけど。あ、どうせ裏口なら二年生として入れば良かったな、そしたら一年多くお前と一緒に……」
言葉の途中で要は森宮に抱きしめられた。俺は目の前で自分と森宮のラブシーンを見ているようで落ち着かない。
「要……会いたかった……」
「俺も」
嬉しそうに屈託なく笑う要は、クラブのトイレで初めて会った時とはまるで別人のようだった。
「あ、そうだ翔太。お前俺と同じ顔でややこしいから、どっか転校しろよ」
「何でだよ!ふざけんな!こっちはお前と違って死ぬ気で勉強して入学したんだよ!」
この暴君ぶり、やっぱり要は要でしかない。て言うか、要が俺と同じ高校に入ったってマジで!?また色々何かが起きそうな気しかしないんだけど…!
あ、そうだ!要がここに居るって事は、今日お迎えで龍之介さんや三神さん…あと遠藤も来るんじゃ!?
これは……もう、会うしかない……!会って俺の優柔不断な恋愛事情に決着をつけなければ……!
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