極道恋愛歌2

330/338
前へ
/344ページ
次へ
ああ、勿体ない。勿体ないけど仕方ない、もう決めた事だから…。 「じゃあ俺、そろそろ…。あの、ほんとに色々お世話になりました。多分もう二度と会う事もないと思いますけど、お元気で……」 深々と頭を下げ、俺は三神さんの部屋から出ようとした。 「翔太」 出て行く直前に呼び止められ、キョトンと振り返る。 「…龍之介の他に気になる奴って、誰だ?」 えええ。何故それを訊く?お前だよ。言わないけど。だってこの人俺のこと好きじゃないし。 「…内緒です」 俺はそう言うと、今度こそ三神さんの部屋から出た。 それから宣言通り龍之介さんの所に行って、お付き合い出来ませんの返事をして、そしたら龍之介さんは「そっか」と言った。 龍之介さんは「俺たち色々と間が悪かったよな」とも言っていて、確かにそうだなーと俺も思った。何かしらタイミングが違っていれば俺は龍之介さんと付き合う事になっていたのかもしれない。 でも、そうならなかった。これが現実だ。
/344ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1843人が本棚に入れています
本棚に追加