第1話

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私は名古屋大学の大学院を2度受験している。2度とも筆記試験は合格したが、面接で落ちた。1回目は落とされたが、2回目は自ら落ちてきた。私には学者の才能はない。  それで、サラリーマンとして頑張ろうと思ったが些細なことで社長とぶつかり会社を辞職した。  使い捨てのサラリーマンではダメだと思って、社会人として英語を武器として使おうと思ったアメリカ暮らしだった。ところが、履歴書の返事が一つもなく、26歳で貯金なし、彼女なし、仕事なしになってしまった。  それで、 「なぜ、相手にしてもらえないのだろう」  と考えて出た結論は「資格」だった。  それで、名古屋のECCに電話をかけて 「英検1級受験対策のクラスはありますか」  と尋ねてみたら、 「ありません。1級を受ける人は少ないのでクラスを構成できません」  と断られてしまった。  それで、英語の手紙を書いたり、ネイティブとの個人指導を受けたり、過去問を繰り返したり、自分で勉強するしかなかった。  結局、今手元にあるのは39通の「不合格通知」と「合格通知」。調べた公的資格らしきものは片っ端から受けた。英語検定だけでなく、通訳ガイドの国家試験、国連英検、ビジネス英検、通訳技能検定、観光英検など。  その合格後、名古屋の予備校や専門学校に履歴書を送付したら全て返事がきた。そして、14年間に渡り7つの学校で非常勤講師をすることになった。  40人講師の中で生徒のアンケート調査で2番人気だったし、資格も取ったし、塾はバブルの頃で順調に集まるし、結婚して娘が産まれ順風満帆だった。    ところが、思わぬところからトラブルが起こった。学力別クラスや、コンピューターを利用した成績表などを作っていたら、伴侶から 「あなたは、勉強のできない子を差別している」  と攻撃された。  親の土地と建物を担保に入れて塾を建てていたし、幼い娘がいたし、生徒に支持されている制度をやめたら倒産する。そうこうしていたら、伴侶が娘を残して出ていった。 image=479814710.jpg
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