第1話

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 私は名古屋大学を受験する5日前に、2階の自分の部屋で勉強していたのだが、突然手がふるえだした。変だと思っていたら、今度は足がふるえだした。終いには、後ろにひっくり返ってしまった。  それで、階下にいた父に向かって 「お父ちゃん!ボクなんか変や」  と叫んだ。  父は何事かと二階に上がってきて、カメのようにひっくり返ってヒクヒクしている私を見て 「何やっとんのや?」  と言った。  そのまま近くのいなべ総合病院に担ぎ込まれた。看護師さんに手足を押さえつけられていたが、隣で母が医者に 「おかあさん、勉強せい、勉強せいって言ったでしょ!この時期になるとこ んなんがよく来る」  と叱られていた。  私は勉強をしろと言われたことはなかった。とにかく、神経衰弱だかノイローゼだか、そんな診断で受験を止められた。  しかし、私は母同伴で受けにいって合格した。  ただ、それ以来トラウマになって数学の問題を見れなくなった。大学を卒業後に、塾講師を2年やってアメリカの中学校に行った。ユタ州のローガン中学校という公立中学校で教師をやっていた。  帰国前に、名古屋の予備校・専門学校・塾に7つの履歴書を送ってみたけれど返事はなかった。それで、田舎に戻って塾を開くしかなくなった。 image=479816308.jpg
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