置いてきぼりずむ

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例えばあたしたちの世界が役が振り分けられた劇の中だとしよう、と前置きしたのは中学最後の夏休み直前の登校中のときだった。 そうとなれば必然的にヒーロー、ヒロイン、ダークサイド、モブがいる訳で、そうとなればこれまた必然的に主人公殺しが云々、ヒロイン争奪戦が云々、ダークサイドのヒーロー、モブの成り上がりがある訳だ。 興味がない訳だ。 そういうキャラの役ってなんだろうなぁ、なんて話したら、幼馴染みの沙良(サラ)と葉風(ハカゼ)はけらけらと笑った。 「あぁ、もう、これだから玖音(クオン)は!考えすぎよ」 「頭いいのってこじらせたらこうなるっていういいお手本だな」 「……ん、あたしもそう思った。まずアレだよね、世界が劇だとしよう、と時点でおかしいし駄目だ」 「役ってなによ。ホントにもう。玖音はもう少し気楽に生きた方がいいわね。まぁ葉風には関係ないでしょうけど」 「どうせ頭わりぃもん」
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