置いてきぼりずむ

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そうだね、と沙良とあたしの声が綺麗にハモったのを覚えている。ハッピーアイスクリーム、は少し古すぎる。お母さん世代かな、なんて考えた。 保育園の頃から足を揃えていたあたしたちの仲は、実はもうその時から修復不可能なほどバラバラなんだけど。 いつも通り、沙良はふわふわ笑って、葉風は陽気に笑って、あたしはニヒルを貫いていた。 ―――いいんだ、もう少しで物理的にバラバラになる訳だから。 夏の爽やかな朝、黒々とした思いを抱えるのに、少しうんざりしてた。 だから。 「ねぇねぇ沙良、葉風っ」 「なぁに、玖音?」 「なんだよ、改まって」 「付き合ってるんでしょ、あんたたち」 びしぃっ、と人差し指を突き付けた。固まる二人を見て、あたしはけらけら笑った。二人のようには明るくなかったけれど。 「……バレてた、玖音?」 「あぁもううん、バレバレだよ、さーらーっ!」 ぎゅうーっ、と沙良に抱きついた。そのまま葉風に舌を出した。
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