置いてきぼりずむ

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その日の朝の会が終わった直後のことだ。 だんっ、と机が突然揺れたからうっかり読んでた本を取り落としそうになった。人の読書の邪魔をするのは誰だ、下手な理由だったら許さん、と睨み付けた相手は葉風だった。 「……なに、葉風」 「お前、なに考えてるんだよ!?」 「なんでコイツはあたしの読書を邪魔するんだろうって」 「そうじゃねぇよ!今朝、突然置いていったりチャリで行くとか、なんなんだよ!?」 本を閉じて机の引き出しに閉まった。主人公がどうやってモンスターを倒すのか、凄く興味があって気になったんだけど。怒り心頭の葉風を目の前にして読書を続けるほどあたしは馬鹿じゃなかったのだ。 「あのねぇ葉風」 「なんだよ」 「あたしなんかじゃなくて沙良を構うの。甘やかすの。大事にすんの。当たり前でしょ、ねぇ?」 「そうかもしれないけど!だからって今朝のはあんまりだろう?」 「こーれーだーかーらー葉風はっ!!」
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