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日本の最北端に位置する知床の地が雪によって白一色に染まった冬のある日。
この地に住まう土地神が「客」の気配を感じて首をかしげた。
と、言っても「客」が来たことに驚いた訳ではない。
この地は特別な「客」を呼び寄せる宿命の地であるため「客」が来ることは何ら珍しいことではない。
だがその「客」は神の気を放っていた。
「この地に来る者が神の気を放つとは一体」
蝦夷錦の上にロシア製の長く深い青のコートを纏った土地神は暫し考えたがやがて。
「ここであれこれ考えるより、あやつに直接聞いた方が早いか」
土地神はそう言うなり、白髪の髪持つ青年の姿から青白い光りを放つ大きな鹿へと変身し「客」の元へと駆けていく。
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