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「客」の気配を追って土地神は知床岬が見える場所へ来た。
しかし先程と同じく「客」の気配はするものの姿は見えない。
「とりあえずあの気を捕まえるとするか」
顔のない鹿の姿の土地神は雪に覆われた大地を蹴ると力強く駆け出した。
「何!」
土地神は「客」の気配が急に消えたことに一瞬驚く。
が、すぐに「客」に逃げられたのだと気がついた土地神は、顔に楽しげな笑みを浮かべる。
その、次の瞬間だった。
「ゴオオオオ!!」
風が異様な音を立てて土地神の背後から襲いかかって来た。
すんでのところで風をかわした土地神はその風から漂うこことは違う海の匂いにより「客」の正体に思い至る。
「海風の姿の神か。どうりでいくら探しても見つからぬ筈だ」
土地神は一人呟くと角の上に青白い光の珠を作り出し、それを神の気配のする辺りに強く叩き込んだ。
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