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※※※
土地神がこちらに来た時には高い場所にあった太陽も、今は沈みかけている。
その沈む夕日によって夕焼けの色に染められた地面は雪も木も吹き飛びすっかり荒れ果てていた。
反対側の海辺の土地に目をやれば知床岬は消滅し、残された土地は深くえぐられ崖になっていた。
さらに沖の方を見ると新しい小島が出来ていた。
それはどう見ても崩れた知床岬の土から出来た物である。
「不味いな」
この惨状に土地神がため息をつくと「わっはっはっはっ!!」と豪快な笑い声が聞こえた。
「ありゃー、酷いな」
いつの間にか自動車の山の上に着物姿の男が一人立っていた。
いきなり現れた場違いな男。
長い髪を風の吹くままに乱し日に焼けた肌の上にに青い着物を緩く着たその男が、海風の姿をした神であることは男の持つ神格から明らかである。
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