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「おまえら……何者だ?」
薄汚れた衣に、刃こぼれした太刀を手にしている三人の男。鋭い光を宿した瞳に、低い声音はお世辞にも友好的とは言えなかった。
彼らは、青年の言っていた盗賊だ。柚月たちが派手に騒いでいたので様子を見に来たのである。
「静かにしろ」
突きつけられた白刃は、彼女頬に触れる寸前だった。
それでも、柚月は動じない。
「ちょっと後にして! そろそろ、お互いの立場をハッキリさせようってとこなんだから!」
条件反射的に、怒鳴り返す。青年に向き合ったまま、視線を寄越すことさえない。そんな物怖じしないリアクションは予想外だったらしく、男たちは戸惑う。
一方の青年は、ゆったりとした動作で腕組みする。柚月の拘束など無意味に思えるほどだ。
「そうかな」
「そうよ! 今さらだけど、あんたと私の関係は!?」
「恋人」
「さらっと適当なことほざいてんじゃないわよ! 話をごまかすにしても突飛すぎ! ますます不信感が強まったわッ!」
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