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ひっ、と息を呑んだ完全に空気だった他のチワワ2人も殴り、5人を一発ずつだけで倒した鳴畑はすぐ逃げるように走り去っていった。
目につく怪我は無いが重い一撃だったのであろう、気絶した奴らが倒れている。このまんま放ってほくほど人情薄いわけでもないが、何かできるほどの力があるわけでもないのでとりあえず有里山に連絡した。
『もーしもーし?どうしたー?』
「怪我人がいるから保健室の先生呼んで部活用倉庫の裏来い。すぐに」
『おぉうww?なんかヤバそーな、ラジャー』
理解が早い友人のおかげですぐ切れた電話をポッケにしまう。数分後、担任と校医を連れて有里山が来た。校医は連絡ありがとう、というとすぐチワワたちの方へ行き、担任は事情を聞いてきた。見てたのに止めなかったのかと責められるのは嫌で、偶然見つけた、と言う。
「盃季、連絡ありがとうな。有里山もありがとう。お前らもうゲームに戻っていいぞ。っと、そーだ。もしリボンまだ持ってないならあいつらの取ってこようか?」
「……お願いします。あ、2つだけでいいです」
「りょーかい。ちょっと待ってろ」
担任は小走りでチワワたちの元へ行き適当に2本取ってきて俺たちに渡す。礼を言うとこちらこそ、と返されてあとは任せて第二アリーナへ向かった。現場()から少し歩いたところで有里山が口を開く。
「盃季、実はあーなった瞬間見てたww?」
「……なんで?」
「いやー女の勘?なんつってwwあ、いやそんな目でみないでww」
「……まあいい。誰がやったか知りたいんだろ?」
「いえーすww」
「鳴畑」
「…えーそんな冗談面白くないよー座布団全部没収ぅww」
「…………」
「え、マジで?あのヅラくんが?」
「……」
「……わぉww人は見かけによらないねぇww」
「ま、リボンももう持ったし戻るか。」
「そうですねww会は3時間で終わったらまた集合って言ってたしあと2時間プラプラすんのもめんどいしww」
「寝たい」
「ほーいw」
第二アリーナ向かう道中、甲高い叫び声や野太い声など様々なものが聞こえたが全て総無視して行く。目的地の中に入るとチワワが大量に居た。聞こえてくる会話は「○○様にリボン渡しちゃったー!」「えー羨ましい!けど僕なんか△△様に渡したもん!」などと言ったもので、無意識に悟りを開いた顔をしてたらしく有里山に笑われた。
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