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「……このことは生徒会の皆様には言わないでいただけますか?」
「あのクズどもにか?いいだろう、約束しよう」
「お願いします。…本当のことを言いますと、アレをやったのは鳴畑です」
「鳴畑……それはさっき言った奴だよな?」
「はい。それです」
「…それは…面倒だな……」
「面倒、ですか」
「鳴畑になにかしらの処罰を与えればクズどもが煩くなるだろうからな。まぁわかった。協力感謝する」
「いえ、嘘ついてバレて本当のことを言っただけですので」
「そう謙遜するな。こちらはお前が教えてくれたおかげで犯人探しをせずに済んだのだ。よし、では教室まで送ろう」
「いえ結構です」
しまった。即答してしまった。いや、だって、ほら……目立ちたくない……し……?即答の拒否の返事に一瞬目を見開いた風紀委員長。
「なんだ不満か?」
「……いえ、時間がないとのことなので」
「たかだか数分くらい問題ない。ついでに生徒会にも文句を言いに行かなくては気が済まんのでな」
「そう、ですか…」
立ち上がりこの部屋を出て先程の殺人現場へ戻る。少し出てくると言った委員長に返事をしたのはあよ風紀委員1人だけだったのは余談である。風紀室を出て廊下を歩いている途中、鷹嶋委員長が口を開いた。
「お前は珍しい」
「?」
こんな特徴という特徴がない奴が?との意味を込めて首を傾げる。
「この学校にいる生徒の大半はお前が見たような場面に遭遇しても無視をする。風紀の俺が言うのもなんだが、ここは制裁と称した暴力や強姦が多くはないがあるからな」
学び舎がそんな物騒な治安とは此れは如何に。
「まあ全校がしてるのではなく生徒会の親衛隊によるものがほとんどだがな。理由は生徒会に近づいた、とか下らないものだ。それで制裁を避けるため一般生徒は生徒会に近づかず、その掟とも呼べる暗黙の了解を破った鳴畑が珍しくてクズどもは寄って集ってるんだろう」
「………バカなんですね、親衛隊も生徒会も」
「ほう。制裁をする親衛隊だけでなく生徒会もか?」
「だってその暗黙の了解のせいで関われる人が極少数で淋しかったから鳴畑に構ってるんでしょう?それなのに、その淋しさを埋めてもらって嬉しかった感情を、友情を、恋と間違えてる。ただのバカじゃないですか?」
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