平凡すぎる取熊自由の日常

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「ふぁ、過去に行きたいな…」 タイムマシンは作れないと確定された世界でそんな事をつぶやきながら起床したのは取熊自由。 2214年時点での高校二年生だ。 不思議な名前である。 「最近冷え込んできたな。もう9月か」 季節は夏の終わり。21世紀の気候では11月まで猛暑日が続いたという事は中学で習う。 地球温暖化が止まった今ではそんな事はあり得ず8月に1.2日程度猛暑日が来れば多い方だ。 「昔の人はいいよね~この季節はまだ真夏なんだから」 200年前の人に聞かれたら怒られそうな一言を発しながら朝食を作り始める。 自由は親元を離れて一人暮らし真っ只中なのだ。 「冬は嫌いだな…寒いし。雪積もるし…」 11月にもなれば雪が降り始める自由の実家は大阪にあるのだがそこでも冬は1mほど積もっているのにこの東京に限っては2mを越すこともある。 自由本人は昔雪国と言われた地域に行ったことはないのだがその辺りは例年5mほど積もるらしい。 今は家の屋根が熱を放ち雪掻きをする必要はないが昔は人の手でやっていたことを信じる人は少ない。 「そろそろ肉とか食べたいな」 ここ50年の主食は小麦、温暖化停止による気温低下のせいか世界中で米が少なくなり動物は環境に馴染めず何種類もの種類が絶滅した。昔からいたもので生き残っている食用にできるものといえば羊と鶏程度だった。 牛は世界中で保護される絶滅危惧種となっていた。 朝食を食べ終わり学校へ向かう。 今日も空は澄んだ蒼色をしていた。
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