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えー……と。
どうしよう、相川君の隣でいいのかな。
仕方なく足を進め、みんなの列に並ぶと
「あたし右の方が写真写りいいから、相川場所変わって」
と、あゆが隣に来てくれた。
あゆ……!
さすが親友、ありがとう。
なんて思いを込めてあゆを見ると、視線がぶつかり
「もうちょっと修羅場見たかったんだけど、長引くとめんどくさいからね」
と、あゆは口元を上げた。
それを見たあたしは内心泣きながら「はい、チーズ」と言う芦田君の掛け声にピースをした。
「はい、カメラ」
「ありがとー」
芦田君は土田君にカメラを手渡すと、あたしの方に足を進めて来た。
う……
機嫌、悪いのかな。
何を言われるのかドキドキしながらその場に立ち尽くしていると、人目を気にする様子もなく、あたしの耳に顔を近づけた芦田君。
「夜、部屋抜けてきて」
その言葉に驚いて間近にある顔を見上げると、芦田君はフッと笑った。
「分かった?」
「……ん」
そう微笑んだ芦田君の笑顔は、少し意地悪そうで。
あたしは目線を下げながら、かろうじて頷ずく事しかできなかった。
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