782人が本棚に入れています
本棚に追加
「優、そこのペット取って」
ヨシの言葉に寝転んだまま腕を上に伸ばし、ベットサイドに置いてある炭酸水のペットボトルに手をかけ、そのままヨシに向かって投げた。
「ん」
「ちょっ、投げんなよ!炭酸なんだからな」
「じゃ自分で取れよ」
「もー、大島と会えなかったからって拗ねんなよ」
「……そんなんじゃない」
そう口にしながら、フカフカなベッドに顔を埋める。
別に“会えなかった”訳じゃない。
大島には用事が出来てしまったから、仕方ない事だ。
ベッドの端に置いてある鳴らないスマホをチラリと見て、1つ息をはいた。
「大島何かあったの?」
話しかけるなオーラを出しているのにも関わらず、ヨシは気にとめる様子もなくズカズカと土足で俺の心中に入り込んでくる。
仕方なく体を少し起こし、さっき待ち合わせ場所の自販機前で小嶋さんから聞いたことを、説明した。
「……同室の子が風呂でのぼせちゃったから、介抱してるって」
「そーなの?連絡あったのか?」
「携帯充電切れて連絡できないから、その場にいた小嶋さんに言付けしたらしい」
自販機前にいたのが期待していた大島じゃなくて、失礼ながら小嶋さんにはガッカリしたけれど。
最初のコメントを投稿しよう!