I need you *

45/63
前へ
/207ページ
次へ
一瞬しん、と静まり返る、部屋。 話すのもやめ、お菓子を漁る音まで消えた。 「誰?」 「担任じゃねぇ?」 「いやいや来ないだろ、ちょ優、そのまま出て」 「……」 3人は立ち上がる様子もなく、俺は無言のままドアを開けに行った。 ガチャっとゆっくりドアを開けると、隙間から見えて来たのは 「あ、芦田君」 緩く微笑む、小嶋さんだった。 「……何?」 とっさにさっきの話を聞こうかと思ったけど、みんながいる前だし大島にも確認をしてないから、今は飲み込んだ。 「あのね、ちょっと来て欲しいんだけど」 「誰に?」 「もちろん、芦田君」 上目遣いで俺を覗く小嶋さんに、取りあえず軽く頷き、部屋から出た。 部屋の中から名前を呼ばれたけれど、そのまま小嶋さんについて廊下を歩く。 「で、何?」 俺が2人になりたかったのは、さっきの事を聞きたいからだ。 だけど取りあえず、あっちの話を聞いてからにしよう。 廊下の壁に腕を組みもたれながら、小嶋さんに視線をやる。
/207ページ

最初のコメントを投稿しよう!

782人が本棚に入れています
本棚に追加