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「あのね、あたし」
彼女はそう呟くと、目を潤ませた。
そして一呼吸置いて、再度口を開く。
「芦田君の事、好きなの」
見つめられたままの俺は、何も動じなかった。
……なんとなく、分かってたから。
分かってたらグループ、一緒になんてならなかったのに。
もう少し早く気がつけば良かった。
自分の鈍感さに呆れながら、少しの罪悪感から組んでいた腕をほどく。
「ごめん。俺彼女いるから」
当然のように口にすると、小嶋さんはいきなり俺に抱き付いてきた。
「知ってるよ、知ってるけど止められないの……」
引き止める小嶋さんとは裏腹に、俺はいつもと違う温もり、香りに、嫌気が増す一方で。
小嶋さんのから離れようと肩に手をかけた時、後方からガタンっと何かが当たる音が耳に届いた。
瞬時に後ろを振り返ると、そこには瞳を揺らした
ーーー大島が立っていた。
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