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「ごめんね、いきなり」
そう言って、小嶋さんは微笑んだ。
いきなり部屋に来た彼女に驚きの気持ちが多かったけれど、あたしは話に耳を傾ける。
「芦田君もう部屋に戻ってきてるみたいだよ」
「……え、本当?」
「うん、だから行ってみたら?」
思いも寄らない朗報にあたしの心臓のスピードは加速し、顔が綻ぶ。
「わざわざありがとうございます」
あたしはあゆに一言告げ、足を急がせた。
小嶋さん、なんていい人なんだろう。
この時は。
そう思っていた。
「はぁ……っは」
力いっぱい、出せれるだけの力で走る。
階段を降りるときは足が震えて躓いてしまいそいになったけれど、とにかく前に進みたい一心で足を動かした。
走れなくなったその場で、力任せにしゃがみ込む。
……芦田君と小嶋さん、何で2人でいたの?
芦田君、体調悪いんじゃなかったの?
ーーー何で触れあっていたの。
頭の中がぐちゃぐちゃで何も考えられ
ず、整理できないままただ呼吸をする事しかできない、弱いあたし。
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