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「うぅー……」
涙が溢れて、それと共に色んな感情も込み上げてきて。
それを吐き出すように、我慢せず流し続けた。
芦田君の事は信じてる。
でも瞼の裏に焼き付いた残像が離れてくれないの。
芦田君が小嶋さんに、手を伸ばしている所。
芦田君の腕にいる、小嶋さんが。
「っ……ひっく」
人気のない廊下に響くのも恐れずに、次から次へと溢れ出る涙を出し続ける。
吸収しない床に、ポタポタと水溜まりができるほど。
「……何やってるの」
突然背後から聞こえた声にビクッとしたけれど、振り向く事はできなかった。
……誰?
この声は芦田君、じゃない。
「大島、でしょ?」
自分の名前に反応して肩がぴく、と上がる。
頬に伝う水滴を手のひらで吸収して、ゆっくり後ろを振り向く。
「相川、くん」
そこにはお風呂上がりらしき格好をした、相川君が無表情で立っていた。
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