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「ふーん……」
「……」
話したら少し心の波が落ち着いて、冷静な自分が戻ってきて。
さらけ出してしまった事が、今更ながら恥ずかしくなってきた。
……相川君だってこんな事聞かされても困るに決まってるのに、あたしってば。
「別に彼氏の肩持つわけじゃないけど……」
顔を上げることが出来ず俯いたままでいると、相川君がボソリと口を開いた。
「今日初めて彼氏見たのに、大島の事をすごく大事に思ってるってことが分かったよ」
「……え?」
相川君の発言に驚いて隣に視線をやると、眼鏡越しに目を細めた相川君と目が合った。
「ほんの少し接触があっただけなのに、それが分かるってすごくない?」
「……」
確かに相川君は、ほんの少しあたし達を見ただけ。
相川君がそう言ってくれるのは嬉しいけれど。
「……それは分かってるよ。でも実際に目の前でーー」
「疑うよりも先にしなきゃいけないことが、あるんじゃないかな」
言葉が出なくなってしまった。
出し切れず飲み込んでしまった言葉を、上手く消化が出来ない。
「好きなら彼氏を信じて、真実を聞かなきゃ」
相川君はあたしを見て、柔く微笑んだ。
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