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「あ、し……だく、ん……」
口にそう出した時には、芦田君があたしの隣に並んだ。
そして腕をグッと強く、握られる。
「ごめん、この子俺の大事な子なんだ」
途切れ途切れ息を切らしながら、芦田君は相川君に向かってそう言った。
隣を見上げると、額に汗が滲んだ芦田君。
……芦田君が来てくれた。
そんなに息を切らして
汗を滲ませて
あたしを必死で探してくれたの?
「大丈夫、取らないよ。
大事にしてあげて」
相川君はそう言って、柔らかく微笑んだ。
「……ごめん、ありがとう」
そう答えた芦田君は、軽く頭を下げてあたしに向き合った。
目が合った瞬間、体に電気が走ったような感覚に陥る。
大好きな、優しい瞳。
「大島、説明させて?」
「……うん」
大丈夫。
芦田君を信じてる。
あたしも芦田君に、話さなきゃ。
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