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「小嶋さんに、何かされた?」
頭上から心配の色を含んだ声が降ってきて、あたしはそれに首を振った。
小嶋さんも、芦田君を好きだったんだよね。
やり方を間違えてしまっていたけれど、あたしと同じ気持ちだったんだ。
「ごめん、最初から気付いてれば……」
芦田君の胸に顔を埋めたままのあたしは、そこで顔を上げる。
「大丈夫だよ、芦田君。
もっと仲が深まったんだもん。
小嶋さんに感謝しなきゃ」
芦田君の事、もっと好きになれた。
あたしの事、凄く大事にしてくれてるって伝わった。
「だからね、プラスだったんだよ。
今回の事は」
そう口にして芦田君を見上げると。
次の瞬間には唇に温もりを感じた。
そしてそれは一瞬で離され、あたしを間近で見つめる芦田君。
「大島いい子過ぎるよ」
緩く微笑んで、またあたしに近付く芦田君。
「……ん、っ」
今度は深く、長い
芦田君のキス。
凄く丁寧に、気持ちを伝えてくれるような、そんなキス。
涙で濡れたままの頬を、芦田君が指先で拭ってくれて。
それでも止まらない、2人きりの空間で。
あたしはただただ、芦田君の愛に
必死で応えていた。
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