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声に反応して、瞬時に振り返る。
そこには大好きな人の優しく笑う顔があった。
「おはよ」
「お……はよう」
芦田君の顔を見た瞬間、顔が紅くなるのが自分でも分かる。
「芦田君、後ろにいたの?」
「ん。声かけてるのに、大島ちっとも気付かなかったから」
「そうなんだ、ごめんね」
早く駅に行きたい気持ちでいっぱいで、周りの事が見えてなかった。
「あ、それ付けてくれたんだ」
「……うん」
芦田君の視線を首に感じて、少し緊張する。
「やっぱり。似合うと思った」
あたしの首元にあるネックレスを優しく触れながら、芦田君はフワリと笑った。
触れられた部分も、それ以外の所も、一気に熱を帯びる。
「顔、紅いよ」
「……!」
首元に触れていた芦田君の手がさり気なくあたしの手に移動して、そのまま握る形になって恋人みたいで恥ずかしくなる。
「いい加減慣れてよ」
芦田君は、またフワリと笑った。
その笑顔にまたドキっとする。
芦田君に慣れることなんて、いつか来るのかな。
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