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「あっ、うん!」 もしかして芦田君、あたしが急いで決めたって気づいた…? 丸い四人掛けのテーブルに向き合って、パスタを食べる。 スプーンとフォークを上手く使って器用に食べる芦田君に、男の子なのにすごいなあと感心した。 「大島のちょっと頂戴?俺のも食べていいよ」 そう言って芦田君は自分のミートスパゲティを、テーブルの真ん中に置いた。 芦田君はいつもそうだよね。 あたしが言わなくても、導いてくれる。 自分のことでいっぱいいっぱいのあたしとは違って、ちゃんと周りを見て思いやる優しさがあって。 そういう芦田君が大好きだけれど、あたしも芦田君にしてあげたいという気持ちがこみ上げてくる。 初めての恋、初めての交際。 あたしにとっては初めてのことだらけ。 だから上手く出来ないのかな。 芦田君は……初めてじゃないから、出来るの? 芦田君は、“初めて”じゃない? そこまで考えると楽しいデート中のはずなのに、胸がチクリと痛んだ。
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