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「は?そりゃあ初めてじゃないでしょ」 教室でヒソヒソと話すあたしに、あゆはバッサリ言い捨てた。 「……やっぱり?」 現実を突きつけられ、思わず涙目になる。 「ってか雪香、芦田と同じ中学でしょ?知らないの?」 あゆの一言に記憶を辿る。 ……そう言えば。 保健室で芦田君と遭遇する前から、あたしは芦田君の事知っていた。 それは何でかと言うと、格好良くてモテるだけじゃなくて“来るもの拒まず”で有名だったから。 今の芦田君からじゃ、とても想像できないけれど…… でも女の子達が上辺しか見ないから嫌になったって、言ってたもんね。 ……じゃあやっぱり、付き合うの初めてじゃないんだ。 そこまで考え答えにたどり着くと、頭も気持ちもどんどん沈むあたしを見て、あゆはフッと笑った。 「初めてじゃなくても今の彼女は雪香でしょ?それだけで十分じゃない」 「……そうだけど」 あたしも芦田君の“初めて”になりたかった、なんてわがまま……だよね。 「過去はさ、変えられないんだから。変えれるのは未来なんだよ。 これから雪香でいっぱいにしちゃえばいいでしょ?」
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