交通ルールを守る女

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「うおぁ……マジかよ……」 何度も切り返しを行いながら、ムルシエラゴに続いてオデッセイをガレージの中へ。 まずは内装に驚いた。 外装のコンクリート造りをそのまま内に持ってきたかのよう。 内部もまた無骨だ。 だがどこか整然としている。 恐らくムルシエラゴとオデッセイの納車時についていたのであろう、ホイールだのグリルだのの純正パーツはインテリアのように壁に吊り下げてディスプレイ。 三台分のガレージのうちもう一台のスペースには、必要十分かそれ以上の工具がメタル調のラックに整然と並ぶ。 それらはシックな色合いの天井照明を鈍く、そして妖しく反射していた。 小洒落た街工房のような、夢にまで見たマイガレージだ。 このガレージには自ら輝きを放つかのような高級車ではなく、ちょうどこの極限までカスタムパーツを取り付けたオデッセイとムルシエラゴがよく似合う。 そして次に驚いたのが広さ。 三台分合わせれば六畳間五部屋分はある。 やたらと車幅のあるムルシエラゴでも余裕がありすぎるくらい。 天井の高さこそ特筆すべきほどではないが、幅と長さだけなら4トントラックも入れることだろう。 とにかく隅から隅まで想像を絶する距離がある。 「クソっ……やたらといいガレージ持ちやがって」 「ふふっ、ありがとうございます。改装にはそれほどお金をかけてませんよ。掃除して物を置いただけです」 オデッセイの運転席横で興味深そうにキョロキョロとガレージを見回すレオ。 ヒューガは工具のスペースに向かった。 工具スペースの最深部には小型の冷蔵庫があるらしい。 その中からガラス瓶のコーラを二本取り出す。 手慣れた手つきでビンの王冠蓋を開封。 王冠を捨てるか少し迷ったあと、壁のフックにかけてインテリアの一つにした。 ヒューガは迷いのない足取りでレオの正面に辿り着き、そびれる様子もなく「どうぞ」とコーラを差し出す。 レオもまたそれを素直に受け取る。 「おう、悪(わり)ぃな。このコーラが100ユーロってことはねぇだろうな?」 「その手がありましたか」 「殺すぞ」  
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