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「クソ女……ふざけんじゃねぇ!!!!」
レオの握る力が再び強まる。
いや、むしろ先程より強い。
華奢なヒューガの身体は間も無く浮き上がるかというところだ。
観衆は静観している。
一触即発の雰囲気だ。
だが当の本人、ヒューガは、相変わらずの穏やかな表情を浮かべている。
「言いくるめたつもりか? あぁ? 安い同情買わせた勇気は認めてやる。だが事実は変わらねぇ。テメェは俺をナメきった。意味分かるか? 欲しくもねぇハンデを貰って負けるってことの屈辱が分かんのか!!!!」
「あっ、申し訳ございません」
「申し訳ございませんって……!! どこまで感情逆撫ですりゃあ気が済むんだ!!」
『そぉーこぉーまぁーでぇー!!!! はっはっはっ!!!!』
ジジがメガホンという最終兵器を出してきた。
陽気に笑い声を上げながら、メガホンを持っていないほうの手でレオとヒューガの間に入る。
擦り入り際にレオの耳に向かって『はっはっはっ!』とメガホンで叫んだ為、耳を塞ぐのと入れ替わりにヒューガを解放。
いつものが来た、と会場は緊張の糸が切れた。
『はいはい、最終レースはとんでもねぇ結果で終わったなぁ! 賭け金の分配は終わったか?ならお片付けの時間だ。巻き込まれたくなけりゃさっさとお家に帰んな。盛り上がりすぎてハメを外すのはこのバカ一人で十分だぜ!』
背の低いジジが飛び上がり、背の高いレオの頭をグーで殴る。
観衆の品のない笑い声。
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