第2話

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選択肢は3つだ。 1つは、気づかないふりして あたしもさっさとガシャっとやって 退散する。 2つ目は、気づかないふりして あたしもさっさとガシャっとやって 退散する。 3つ目も同じ! とにかく早くこの場から立ち去って 「君ってアミの友だちだよね?」 最悪だ。 なんで話しかけんのよ! 「……うん」 「アミってさ、どんな子?」 自分のチャリを押しながら あたしに近付いてくるユウ。 「どんなって…いい子じゃないかな」 「最近、アミのことがわからないんだ。親友の君なら、何か教えてくれるんじゃないかって」 親友なんかじゃ…。 「え?」 あ、声に出しちゃった? 「親友じゃないの?」 誰もいない薄暗い自転車置き場で あたしは初めて ユウの顔をこんなに間近で見た。 「別に、親友じゃないよ」 怪訝にあたしを見るそんな表情は あたしから色々なものを奪っていく。 本当は 何もないあたしに色々なものを与えてくれているのかも知れない。 それを認めたくないだけで。 ねぇ、恋って もっと計算高くて卑怯で それこそアミみたいな あんな感じが恋のやり方じゃないの? ユウと話すと スーッといつの間にか真っ裸にされるような そんな感覚になっちゃうようで 逃げ出したい。 「親友かと思ってた」 ユウはあたしのそんな気も知らないで、そうやってまだ話しかけてくるから あたしは最後にこれだけ言って 逃げようと思った。 二度とユウと話すことなんてないんだから これぐらいのこと言ってもいい。 アミに直接何かを言うなんて無理だし 「好きな人、取っちゃうようなやつ、親友なんかじゃない」
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