第3話

2/3
前へ
/21ページ
次へ
「ねぇっ!? どうしたの? ユウッ!?」 ユウの耳に届いたアミの声は 虚しく教室を舞って 誰にも受け止められないまま地面に落ちる。 みんなが聞いてないふりを続ける。 「ユウッ!」 声と同時に飛んできたアミの腕を ユウは思い切り振り払う。 そして ユウはあたしの席に近寄って 「帰ろっか」 そう言うのだ。 あはははは。 なんていい気分なの。 なんて もちろんあたしは顔にも口にも仕種にも出さない。 コクンと頷くだけだ。 呆然とあたしとユウを見るアミ。 笑いを堪えるクラスのみんな。 みんなは実際には何も気にしていないのかも知れない。 他人のことなんて 別にどーだっていい。 笑いを堪えているのは 本当はあたしだ。 ユウは本当にあれからアミとは 話していない。 アミと話さなくなったユウは 今度はあたしの手を離さない。 ふたりだけの帰り道だ。 行きたくもないマックに寄って 食べたくもないアップルパイを食べる必要とない。 あたしとユウは 付き合ってる なんて呼んでいいのかな。 ふふふふ 幸せを堪えるのに あたしは必死だ。
/21ページ

最初のコメントを投稿しよう!

5人が本棚に入れています
本棚に追加