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バタン、と階下で音がしたので
お母さんが出て行ったんだと思う。
買い物に行ってくるとあたしに言ってから
何分もキッチンでごちゃごちゃしてたから
買い置きのラップが本当にもうないのかどうか
確かめていたんだと思う。
別にラップくらいなくたって
1日くらいどーってことない気がするけど
なんか今日はどうしてもじゃがいもをチンしたいから
どうしても必要なんだって。
だったらあたしにだって考えがある。
着替えないまま寝っ転がったベッドの上
スカートの中に手を入れてみた。
下から手を入れて中の布にふれる。
やばい。
今度は上から手を入れる。
狭い。
あたしはホックを外しちゃって
スカートをベッドの下に投げ飛ばした。
あたしをジャマするものはもうない。
あたしは上から手を入れて
自分で自分を慰める。
「あっ」
やばいやばい。
キモい声が出ちゃった。
「んっ」
それからしばらくあたしは
あたしだけの世界に没頭した。
本当はユウにも来て欲しいけど
ユウにはアミがいるから
無理だって話。
……やめた。
ただ、虚しくなる。
ユウのことを考えると
あたしには絶対手が届かないから
ただただ、虚しくなる。
あたしは全部脱いで
バスルームに向かった。
こんなに寒いとなかなかお湯はお湯にならずに冷たいままだ。
あたしの心もいつか必ずあったかくなるとわかっているなら
こんなに切ない気持ちにはならないのに。
つか、別にユウとアミは付き合ってるわけじゃない。
これまでだって、
こいつら絶対両想いなんだって
そういうふたり
結局付き合わずに終わっちゃうなんてよくあった。
だけど、
だからと言って、
そこにあたしが割り込めるわけじゃない。
つか、
追い焚きボタン押すの忘れてた。
ピコん
と情けない音がして
“追い焚きを始めます”と機械の中のお姉さんが喋る。
オラオラ、
早く始めろっての。
ようやくあったまったシャワーを頭からかぶる。
流れてしまえ。
何もかも。
シャンプーを頭皮につけると
せっかくあったまったのに
またそこだけひんやり冷えた。
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