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あたしとアミは親友だった。
親友の定義とか
よくわかんないけど
とにかく中学まではいつも一緒にいた。
「あんたも寄ってくよな?」
「え?」
「マックだよ。アップルパイ食べたいって言ってんじゃん!」
アミはいつも何か食べてるけど
全然太んない。
スタイルいいのに、顔も可愛い。
可愛いの定義なんて知らないけど
あたしよりは確実に可愛いと思う。
中学ぐらいなら
“可愛い”っていうのは
“明るい”ってことでもあると思う。
あたしはアミより確実に
明るくないし
むしろ、地味で暗かった。
「あんた、好きなやつとかいねーの?」
あったかいアップルパイをかじりながら、アミは悪気もなく笑う。
「いないよ」
ホントはいるけど。
「アミは? また彼氏できた?」
「気になるっちゃなるけど。どうかな」
ドキ。
「だ、誰?」
「内緒だっつーの」
ドキ、ドキ。
「お、教えてよ」
「アタシが言ったら、あんたも言う?」
「あ、あたしはいないってば」
アミは、中沢と言った。
──よかった。ユウじゃない。
「あんたも、いるんだろ? 親友なめんな」
佐々木原ユウ、かな。
そう言ってしまったこと、
あとで後悔する。
それからひと月も経たないうちに
親友だ、と言ったその口で
「アタシ、佐々木原とエッチしたよ」
アミはまたアップルパイをかじりながら
あたしにそう言った。
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