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アミはよくあたしのものを欲しがった。
小学生の頃だって
あたしが持ってたプリキュアの武器とかマーガレットのコミックとか
絶対それまで全然興味なかったはずなのに
あたしの部屋で見つけたら
「いいなぁ、それ。どうしたの?」
どうしたのって、
買ってもらったんだよ。
お小遣い貯めて買ったんだよ。
「アタシにちょうだい」
「え?」
「嘘だよ、いらないよ、そんなの」
とか言って
次アミの家に行ったときは
同じものを手に入れていた。
地味なあたしは
派手なグループから目をつけられる期間が何度かあった。
女子トイレに呼び出されるとか
ホントにあるんだ。
中学のとき
髪の毛がキンキンで
いつも3人とか4人とかで集まってた
スクールカースト上位のあいつら
「お前、最近××くんとよく喋るよな」
もう今なんて
名前すら思い出せない隣のクラスの男子。
選択教科で消しゴム貸してあげたことはあったかも知れない。
向こうから話しかけてきたことだって
1回とか2回ならあったかも知れない。
「あんまり調子のってると……」
そしたら突然アミがやってきて
「うるせぇな、落ち着いてトイレもできねぇじゃねーか!」
金髪グループに
たったひとりで啖呵切って
「おい茶髪! こいつはアタシの親友だからな! 手ぇ出すんじゃねーぞ」
あたしはアミが好きだった。
「ど、どういうこと?」
アップルパイを食べ終わって
オレンジジュースを吸い込むアミにあたしは聞いた。
「試してみたくなっちゃってさ」
理解できない。
どういうこと?
「え?」
「あんた、佐々木原とやったことあったっけ?」
「な、ないよ」
理解できない。
「あんたもしてみなよ、意外とよかったよ」
理解できない。
あたしの好きなアミは
あたしが好きなユウとHして
あたしにもやれって勧めている。
この漫画、面白いからあんたも読んでみなよ。
それと全くおんなじ口調で
あたしにSEXを勧めてくる。
SEXなんて、
したことない。
アミだって
わかってるはずだ。
あたしはポテトのSを全部食べ切れないままで
「……帰る」
だけどアミは
「協力してやるよ。あんたとユウがうまくいくようにさ」
理解、
できない。
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