第1話

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アミのことが理解できなくなってから あたしはアミからのLINEを既読にするのが憂鬱になった。 文面はわかってる。 “今日、佐々木原とカラオケ行くんだけど、あんたもどう?” 教室では ユウ、と呼び捨てにしてるのに あたしには苗字で話す。 そういうところも なんかイライラする。 LINEはスルーできても 教室では無視できない。 「最近LINE読んでないじゃん」 「ちょっと、忙しくて」 「これ、観てみなよ」 アミを遠ざけたくて できるだけアミを遠ざける。 すると あたしは誰とも喋らなくなった。 あたしはずっと アミに依存してきたのかも知れない。 自主勉してるフリしてノートを開くけど 何も書きたくない。 何も、書くことない。 白紙のノートの上に置かれた1枚のディスク。 CD? 観てみなよ、ってことはDVD? 「何?」 「アタシと佐々木原がヤってるとこ、撮ったから。よかったら、あんたも一緒にさ」 ふざけんな! なんでこんな、嫌がらせ。 「……いらない」 「観てみなよ」 「アミ、なんでこんなことするの?」 「アタシはあんたを応援してる」 「ふざけないで!」 暗くて地味なあたしが大きな声を出したので 昼休みの教室が一瞬で静まって 変な空気が流れる。 「ごめん、嘘。ただのバラエティ番組だよ、あんた前に見逃したって言ってたじゃん。ごめん」 もう、ホントに わけわかんない。
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