120人が本棚に入れています
本棚に追加
『新撰組』のことは、勿論。恐らく『夜』のことさえ、忘れている。………いや、『鹿嶋 龍之進』として、逢った時の『夜』のことは、覚えているのかも知れない。
まぁ。その時、夜は『夜』と言う通り名ではなく、『本名』を名乗っていたけれど………。だが、今の宵には『清之助の友人』と言う認識しか出来ていなかった。
ー今の宵の『箱庭』の中心は、『清之助』ー
正しくは、『清之助』だと認識している『土方』なのだろう。以前は、山南にー今は土方に、寄り添っている。
……………それも、宵が『悪い』わけではない。今も『過去』も、宵は『周囲の男の思惑』に、翻弄され続けている。
ー己自身の『真の望み』さえも、願えないー
元より。今の宵は、己の『真の望み』さえも、持てずにいるのだろうが……………。
宵は『捕らわれている』から。最愛の主『夜』に。そして、今は『過去の悪夢』に、捕らわれたまま。
ー抜け出すこと叶わぬ、『底無し沼』のようだー
山崎も土方も、この時『同じこと』を、考えていた。どうすれば、宵を『解放』してやれるのか。このまま、『捕らわれたまま』には、しておきたくなかったのだ。
最初のコメントを投稿しよう!