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『理由』は、至極簡単なこと。山崎が本気で宵を『愛する』ようになったから。
ただ、『情欲』の赴くままに、抱いていた頃は、接吻しなかった。
だって、してしまえば『情が移る』から。宵への『気持ち』も固まらぬ内から、『接吻すること』は、どうしても出来なかったのだ。
宵
「…ん、はぁ。やっぱり、『逢った』こと………ううん、『抱かれたこと』も、あるんだよね?」
接吻の合間に、呟く宵。何故か『そのこと』に、抵抗がない。『慰み者』として扱われていた『鹿嶋 龍之進』の記憶があるからだろうか。
山崎
「………嫌、じゃないんですか。『こういうの』。『本意』ではないでしょう。」
宵
「……………貴方なら、『嫌』じゃない……………」
山崎が、目を見開いた。だって、信じられなかったから。無理矢理『凌辱』された『宵の記憶』がないとは言え、あり得ない。
それは、まるで山崎に『恋慕的な好意』を抱いているかのような言葉だった。だからこそ、尚更、混乱してしまう。
ー心乱される。『期待』、してしまうー
望んでも、虚しくなるだけなのに。何故、今更になって、『そんなこと』を言う?
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