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美弥が何を考えているのかわからない。
私を召使いみたいに連れ歩きたいのかな?
あるいは引き立て役として?
そんなふうに考えるのが精一杯だ。
もちろん、裕福に見えて、何か家庭の事情があるのかもしれないけれど。
私のほうは。
私は自分から「やめよう」と言うつもりはない。
私は、そこらの平凡な女の子たちと同じように、きらきらして、ふわふわして、そして傷つきやすい、痛みやすいものが好きだ。
スワロフスキーのガラスビーズや、遠くから見る街明かりみたいな―――きらきら。
小鳥の羽毛や、シャボン玉みたいな―――ふわふわ。
地面に散った花びらのような、熟れすぎた苺みたいな―――傷つきやすさ、痛みやすさ。
そういうものを見ると、理屈抜きで心が躍る。
だから、美弥を見るのが好きだ。
長い睫にとまる光の破片の、きらきら。
柔らかなロングヘアの裾の、ふわふわ。
そしてどこか、つかめない儚い存在感。
全てが完璧だから。
同じ女としての嫉妬なんか、もうとっくに忘れてしまったから。
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