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午前4時、厩務員室に痩身の男が入って行く。
「おはようございます、斎藤さん!コーヒー飲みますか?」
インスタントコーヒーを片手に、宮城桜は男に手を振った。
「おはよう。夜勤明けでも元気ですね。私はいつものにしますから。ありがとう」
斎藤良人は挨拶を返すと、背中のリュックを机に下ろして部屋の一角へ向かった。
そこはクッキーなどが置かれ、喫茶コーナーになっている。
「何か変わったことはありましたか?」
斎藤は急須に茶葉を入れながら尋ねた。
「アライグマがケンカしたので、仕切りで分けました」
桜はパンを頬張りながら答えた。
「飲み込んでからでいいですよ。ハムスターみたいです」
両頬の膨らんだ桜を見て、斎藤は苦笑混じりに返した。
急須に湯を注ぐと、彼は席に戻った。
「お茶を飲んだら園内を回りましょうか」
「はい!勉強させて頂きます!」
桜は急いでパンを飲み込んだ。
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