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「なぜケンカをしたんだ?」
2匹のアライグマは同時にキュウキュウと鳴き始めた。
次第に鳴き声は大きくなり、互いに歯をむき出した。
斎藤が檻を指で叩いた。
「やめなさい。あのね、その子は君たちのことが好きなのかい?彼女に確かめたのかい?」
(急に何を?)
桜は脈略の無い言葉を不思議に思ったが黙ってアライグマを見ていた。
二匹は斎藤を一瞥すると振り返った。
そこには輪から外れ、隣のオスの毛繕いをする一匹のメスがいた。
2匹は目の前のカップルをしばらく見つめていた。
「分かったか?今後くだらないケンカはしないこと」
斎藤の言葉を聞くと、2匹は仲間の元に戻った。
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