お客さん②

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次の日、お昼過ぎまでゆっくり寝て、目が冷めたが、頭痛は収まる所か、酷くなっていて、おまけに吐き気も酷くて、取り敢えず少し熱めのシャワーを浴びて、頭痛薬を買いに近くのドラッグストアまで車で向かった。 買い物用のカートを押しながら店内をブラブラしてはみるが、吐き気は酷くなるばかりで、何度もお店のトイレへと駆け込んだ。 夏の始めの少し汗ばむ季節の風に夏が近い事を身体で感じる。 まだ夜は過ごし易い。 ドラッグストアで店内とトイレを往復してる間に、外は暗く、夜になっていた。 店内でも、カートを押しながら歩いていると、何故か左に寄って行ってしまい、商品の並んだ棚にぶつかりながら歩いていた。 左手に持っているお財布も何度も落としてしまって、その度に立ち止まって拾う。 店内を、頭痛薬を探して、それと同時に吐き気止めも探す。 普段は飲まない炭酸飲料なんかも籠に入れて、やっぱり吐き気が凄く、カートを持ったままうずくまって動けなくなってしまった。 少しでもうごくと吐いてしまいそうで、でも、喉が乾いて仕方ないので、取り敢えずお会計を済ませて車へ戻ろうとレジへと並び、買った商品を袋へ詰めて行く。 その時、制服を着た警察官の人が私に近付いて来るのが見えて、何故!?と警戒しておると、「具合わるそうにしてる、って言うのは貴女?」 と聞かれて、「はい、吐き気が酷くて、」 具合悪そうにしてるのが分かっているのなら、何故警察!?ちょっとイラッと来ながらも、「すみません、車へ戻って飲み物を飲みたいんですけど。」 そう言って警察官の人と一緒に私の車へと戻る。 運転席を開けて車に乗り込み、座って、やっと一息付いて、ドリンクホルダーに置いてあった水を飲んだ。 そこでまた激しい吐き気に襲われ、「すみません、トイレ行って吐きたいんですけど。」 フラ付きながら、トイレへと行って、吐いてまた自分の車の所へ戻って来る。 警察官の人は2人共私の車の所で待っていた。 取り敢えず、この状態だと車の運転はさせられないから、誰か呼べない? と言われて、スマホを出してひーちゃんの所へ電話を入れる、電話で状況を説明していると、呂律が回らなくて喋り辛い。 スマホを持ってる左手から、何度もスマホを落としてしまいながら、なんとか状況を説明しようとしてると、警察官の人が、私のスマホを取り、ひーちゃんへと状況を説明してくれた。 ひーちゃんとひーちゃんの旦那さんのユウヤ君後来てくれる事になり、一安心していると警察官の1人が「脳梗塞だと思うから!救急車呼ぶよ!」 と言われ、そんな!救急車なんて大袈裟な!大丈夫です!と断っていたのだが、「救急車呼ぶからね!」 と強く言われて、無線で救急車を呼んでくれた。 ひーちゃんとユウヤ君が到着する前に救急車が先に到着して、救急隊員の人と警察官の人が私の症状を見て「脳梗塞だと思うので、○○病院へ運びます!」 と、ひーちゃん達に向かって言っているのが聞こえた。 救急車の中で横になり、救急隊員の人の質問に色々答えていると、救急車がサイレンを鳴らしながら走り始めた。 ひーちゃん達に告げられた病院は、脳外科で有名な病院で、そこへ運んでくれるのなら大丈夫だろう、と薄れ行く意識の中で考えていた。 病院へ到着して、慌ただしくストレッチャーで病院の中へと運ばれて行く。 男性の看護師さんの質問に何度か答えながら、検査が始まった。
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