お客さん②

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余命宣告を受けたケイちゃんと私で話し合って決めた事、残された時間を、出来るだけ一緒に過ごす事。 私は毎日ケイちゃんに会いにお店へ行って、ケイちゃんの体調が悪い時はお店を手伝った。 「ごめんなぁ、」 ケイちゃんの身体をマッサージしていると、ポツリとケイちゃんが言葉を漏らす。 「何が?全然大丈夫だよ?一緒に居られるから。」 「ミサトも身体大変なのに。俺がこんなで何もしてやれない。」 「私は、何かして貰おうと思って付き合ってる訳じゃないよ?一緒にいれる、会えるたけで良いよ?」 「有り難うなぁ、」 ケイちゃんのお店に来ると、必ず私を呼ぶ共通の知り合いのお客さんが。 「ケイちゃん、彼女として付き合ってるんたろ?こんな良い子絶対に手放すなよ。」 ケイちゃんにそう言ってくれた時の、ケイちゃんの返事は「はい、なるべく頑張ります。」 余命宣告を受けている事を知らないお客さんの手前、そう言っているのが分かって、なんだか胸が痛かった。
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