お客さん②

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余命宣告より3ヶ月も早いケイちゃんの死は、私にもダメージを与えた。 睡眠導入剤を貰いに行っている心療内科で、カウンセリングも受けた。  また声を出せるやうになって、また笑える様になったのに、私はまた家に引きこもって外へ出なくなってしまった。 そんな中、障害者の就職を支援する事業所へ通い初めて、私は、自分の中にあった、とんでもなく失礼で間違った感情に気付く。 障害者は、障害者らしくしてないといけない、勝手にそんな事を思っていたのだ、なんて失礼で差別的な考え。 障害を持っていても、人と同じ様に楽しんで、幸せになる権利はあるのに。 熊本へ行ってしまったワタル君から、「良い知らせがあるよ。」 と言われたのが11月になろうとしている時たった。 予測で、松戸へ帰って来るのかな?と思っていたら、それは大当たりだったのだが、松戸転勤の直前に、ワタル君は鬱病になって会社を辞めてしまった。今は、何か自分でやりたい事があるらしく、頑張っている。 私も頑張らないと、と、お店を始めたのが、12月に入ってからだ、世間はクリスマスのムードで溢れて、華やかなイルミネーションが街を飾り立てる。 お店、転送電話にしていて、私は家にいながら、お客さんの電話を取って仕事が出来る。 寒くなると、左半身が痺れて痛くなってしまい、外へ出る事もままならない私としては、こんな有り難い仕事は無かった。 キャストとしても、何度かその新しいお店へは出勤したが、本当に客層の悪いお店だった。 バック4千円の激安店から、始まって、バック1万2千円の柏のお店へ行き、バックが7割の1万5千円の松戸で1番人気のあるお店と言われた、お店へと登り詰めていた私が、また新しいお店は激安店へと戻ってしまった。 激安店でないと、この身体ては、お客さんに申し訳無くて仕事に出れない。 柏のお店へも月に何度かは出勤していた。 新しいお店でも、すぐに本指名のお客さんが帰って来てくれたし、何よりも、松戸のお店のお客さんご大勢私を探して来てくれた事が、私の励みと自信へと繋がっていった。
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