お客さん②

159/171

6588人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
夏の暑いある日、私は、埼玉県の浦和駅へ降り立った。 私が昔から大好きなアーティスト、渡辺美里さんのコンサートへ来ていたのだ。 初めて降りた浦和駅。 南浦和とかなら、何度か降りた事はあるが、浦和駅は初めてだった。 道に迷いながらも、1時間前には会場に到着する事が出来た。 コンサートが始まり、懐かし曲や、新しい曲の振動と、迫力ある音響に感動すら覚えていた。 そんな中で、「太陽は知っている」と言う曲の、「君が走り続けた今日までは間違いじゃないよ」 の歌詞の所で、泣き崩れそうになるのを堪えるので精一杯だった。 しゃがみ込む事はなんとか堪えたけど、涙は止められなかった。 何時も、私の心が折れそうな時、駄目になりそうな時、渡辺美里さんの曲に支えられて来た。 何時も背中を押してくれて、支えてくれて、入院中も、歌番組に出ると聞いて、リハビリを早く切り上げてテレビに齧り付いていた。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6588人が本棚に入れています
本棚に追加