お客さん②

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コンサートの熱が冷め無い内に会場を後にする。 外はすっかり夜に包み込まれていた。 日中の熱を冷ます様に少し涼しい風が走り抜けて行く。 身体の中でまだ余韻が続いて、熱を持った気持ちと火照りを冷ます様に涼しい風に少し当たって休憩をしてから、また駅へと向かう。 キン、と冷えた缶コーヒーが喉を潤し、その冷たさが心地良かった。 駅へ向かうバスは、会場から溢れ出した人達でまんぱんだった。 大した距離じゃ無いし、リハビリを兼ねて、私は駅までの道を歩く事にした。 左足は、相変わらずビッコを引いて、普通の倍の時間が掛かる足取りで、なんとか駅まで歩いた。 脳梗塞を起こしてから、初めての1人での遠出、長時間の外出、美里のコンサートの前に、1日 度武道館へコンサートへは行っていた。 でも、その時は途中でサクちゃんと街合わせしていたので、1人での外出は本当に初めてだったから、少し不安もあったが、来て良かった、と心から思った。 私の隣で、やはり1人で来ている男性がいたのだが、隣のオバサンかわ、泣きながら曲を聞いていたのには、きっと驚かせてしまっただろう。 でも、1人で来ている男性の方みたいに、一緒に渡辺美里さんのコンサートへ来てくれる男性って良いな、と思った。
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