お客さん②

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美里のコンサートから帰って、家に着いて一息付く。 熱は冷めやらぬ、その勢いのままで、カラオケで美里を歌う為にケイちゃんのお店へ行く。 何時もの席、ただ誓うのは、目の前の席にケイちゃんのが座って無い事だ。 落ち込んでいた気持ちを、立ち直らせる為にも、コンサートへ行ったのは正解だった。 ケイちゃんのお店で、力一杯美里を何曲か歌う。カラオケなんて歌えなかった私に、声を出すリハビリだ、とカラオケを歌わせてくれたケイちゃんと、サクちゃんの協力があって、以前は出なかった高音も出して歌える様になっていた。 向かいの席にケイちゃんの面影を探して、でも見付からなくて、でも、以前と違うのは、以前は会いに来なければ会えなかったが、今は、会いに行かなくても会える事だ。 友達だった時期も合わせて、良いも悪いも思い出は沢山ある。それを胸に抱いて、頑張って生きるしか無いんだ。 牧野さんと言い、ケイちゃんと言い、私が好きになる人は亡くなってしまうのか?私かま死神なんじゃないか?と自分を責めた事もあったが、私は、亡くなった2人の為にも、生きて頑張らなければならない。 もう下を向く事が無い様に、前だけを向いて、また頑張れる様に、 お店を自分でやる事になって、自宅で転送電話を取って、女の子を上手く配置させるのが仕事になったのは、本当に有り難い事だ。 寒くなると、左半身が顔まで痺れて痛くて、外へ出る事も出来ないから、尚更有り難い。 だけど、このお店も、前店長の妨害に有って、続ける事が出来なくなってしまった。 私の前にこのお店をやってた人は、遊びでお店をやっていた。 それで失敗して、面白く無いから、と辞めたのだが、私がそのお店を引き継いでやる事になったのが面白くなかったらしい。
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