お客さん②

164/171

6588人が本棚に入れています
本棚に追加
/196ページ
自分でお店が出来なくなってしまった私に、年明けに店長が、違うお店とオーナーを紹介してくれて、また自分でお店をやる事が出来る様になった。 ただ、今回のお店は、ちょっと遠い、土地勘も無いので、難しいが、そこは慣れるしか無い。 井上さんと言う、松戸のお店の時からのお客さんに、金銭的には、かなり助けて貰ってる。 吉野さんも、公園でベンチに座って缶コーヒーを飲むだけで2万円くれたりして、本当に有り難い。 ワタル君は、熊本で自分の鬱病を直す為に頑張っている、けど、鬱病が治ったら、私と結婚したい、と言ってくれてて、中古な上に不良品になってしまった私を受け入れてくれてる事が嬉しかった。 新しいお店へキャストとして出勤してる時も「探したよぉ!」「やっと見付けた!」と10人位松戸のお店の時からのお客さんが来てくれて、それが嬉しくて、励みになった。 夜の星空を、文明の光が消し、黒い幕が降りてるような暗さだけが続く夜空を見上げて、感謝で胸が一杯になるのを少し落ち着ける為に深呼吸した。 吐き出した息は、白い塊になって夜空へ吸い込まれて行く。 夜の暗さに怯える様に煌々と灯る街灯に目を細め、迎えの車へ乗る為に足を1歩踏み出した。 私はまだまだこれからだ。これからもっと頑張って行かなければならない。 弱音を吐く時もあるけど、前みたいに、いつでも背中を伸ばして前を向いて行ける様に。
/196ページ

最初のコメントを投稿しよう!

6588人が本棚に入れています
本棚に追加